[世] 天然ガス価格(日本)の推移
http://ecodb.net/pcp/imf_usd_pngasjp.html
東京新聞:3年連続貿易赤字へ 6兆7900億円 来年度見通し:経済(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news
電力8社が最終赤字 4~9月、原発停止でコスト増 :業績ニュース :企業 :マーケッ
ト :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/markets/kigyo/gyoseki.aspx
これが現実です。東日本大震災以降、天然ガス価格は2倍になっています。原子力発電稼
働停止に伴って輸入量が増えたせいで3年連続貿易赤字が予想されている。といって4年
目に黒字化する保証もない。単価が上がり輸入量が増えたから電力会社は赤字になってい
る。
再生可能エネルギーなんかに関係なく、発電すればするほど電力会社は赤字が膨らむので
す。
現在、JR東日本や味の素、キリンビールが自家発電をしているのは、そのほうが電気代が
安いからではありません。
電力会社に起因する事故停電、計画停電、電力統制が企業経営に致命的打撃を与えるから
なのです。ロットの小さい個別企業が電力会社より安い燃料を買える道理はありません。
まして個別企業は電力会社と違って単価の安い水力発電を利用できません。
今後も電力リスクに敏感な個別企業は自家発電に傾斜するでしょうが、その傾向がすべて
の個別企業に当てはまるとはいえません。電力リスクの意味を説明しておきましょう。わ
かりやすい例ではパチンコの爆裂連チャンが瞬時の停電でパーになるということです。パ
チンコ屋は文句は電力会社に言えと居直りますが、大負けを取り返す起死回生のチャンス
をダメにされた客にすればたまったものではありません。そういうリスクが電力リスクな
のです。
質問者さんが再生可能エネルギーで電気料金が上がると思い込んでいるようだが、それは
事実と違います。実際は燃料費負担で上がるのです。ドイツは確かに10年で2倍ですが、
それは確かに再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の影響は否定できないまでも大き
な要因は環境対策コスト、燃料費の増大なのです。元々ドイツの電源構成は極端に火力発
電に偏重していて、環境汚染が深刻でした。だから緑の党が勢力を拡大し、脱火力を悲願
として再生可能エネルギー開発に力を入れてきたのです。ドイツはヨーロッパではロシア


に次ぐ発電能力を誇る国です。しかし国内の化石資源にも水力資源にも恵まれているロシ
アと違って、ドイツで自給できるのは石炭だけで、水力資源には恵まれていない。ノルウ
ェー、スウェーデン、オーストリア、スイスなどは水力発電だけで国内需要の大半を賄え
ているのに対して、それらの国に囲まれたドイツは不思議なぐらい水力発電に恵まれない。
ドイツの水力発電のシェアはわずか4%前後に過ぎません。しかも石炭は石油、天然ガス
と比べて窒素酸化物、硫黄酸化物の発生量が大きく、大気汚染、酸性雨、土壌汚染などの
問題が深刻だった。だから脱石炭火力で石油火力、天然ガス火力にシフトした結果、燃料
費が増大したのです。環境汚染対策でそうした結果、ドイツは石油・天然ガスの単価も押
し上げてしまったのだからなおさらです。それは日本も同じことですけど。ちなみに中国
はドイツ以上に石炭火力に一極集中していて環境汚染は世界トップクラスに深刻です。
環境汚染、電力リスクなど様々な問題を抱える世界の200を超える国と地域が一斉に価
格競争で石炭・石油・天然ガスの確保に走れば価格が高騰するのは当たり前のことなので
す。しかも日本は石炭・石油・天然ガスをどれも輸入に頼っています。ほぼ100%輸入
なのです。さらに永久に輸入できるとも限らない。明日から中国に売りますから、もう日
本には売れませんと輸出国に言い渡されたら、それまでなのです。パチンコ玉を電気で弾
くような横着な国には、もう売りたくないと言われたらなんと言い返せば良いのでしょう
か。