モバイル心電図、到着を短縮

無用な病院経由を回避する手段に

 

 急性心筋梗塞をはじめとした急性冠症候群への救急対応を巡り、患者搬送の運用体制をいかに改善していくか考え方を述べた。中で、モバイルの心電図データを用いた搬送先の判断について報告。心電図のデータを事前に医師に送信すると、診断までの時間が短縮し、必要ならば直接、冠動脈狭窄へのインターベンションを実施可能な施設に送れるとして、今後の導入拡大を促すべきと考えを述べた。

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高齢女性の夜間にリスク

 まず急性心筋梗塞の患者のうち、どういう条件に当てはまる人が病院搬送で遅れるかを説明した。患者条件としては、性別が女性であること、高齢であること、高速発症前の24時間以内であること、狭心症発作や肺鬱血の合併があること。さらに夜間の発症でも遅くなる傾向が報告されている。

 夜間発症が遅くなるかについては、午後8時から12時が最も遅くなった。夜間に入ると朝まで我慢するケースがある。そのために深夜だけではなく、より早い時間帯も遅くなる」と説明する。ただし、院内死亡率に有意差はなかった。

モバイルで到着早く

 発症から病院到着を早めるために、携帯電話の回線で病院にデータを送信する。

 病院到着を早める要因として重要なのは、発症後、必要であれば、直接、冠動脈狭窄へのインターベンション治療を行える医療機関に搬送することだ。

 1992年に調べた時と2002年に調べた時との間で、医療機関への到着時間の遅れは変化がなかった。

 救急車で検査可能な心電図を導入して、救急車の内部で心電図を測って、伝送する仕組みを構築。病院で医師が心電図を基に診断して、必要な患者を確実に対応可能な医療機関に搬送できるようにした。検証したところ、モバイル端末を使って急性冠症候群の患者を診断するようにしたところ、病院到着までの時間はモバイルシステムを使わない場合に96分だったのに対して、利用すると86分となり、大幅に短縮できた。

 ほかの地域でも有効に使える可能性がある」と話し、今後のモバイルシステムの活用を促すべきだとまとめた。

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